今回は、「どのような靴を選べば良いですか?」という多くの方からの質問にお答えし、特に外反母趾や扁平足、それに起因する膝や股関節の痛みでお悩みの方へ向けて、靴選びのポイントとおすすめのシューズをご紹介します。

1. 靴選びに関する3つの間違った認識を解消する
多くの方が靴選びにおいて誤った認識をお持ちです。まず、これらの誤解を解くことが重要です。
誤解1: クッション性がある方が良い
多くの方はクッション性が高い方が良いと思っていますが、本当に大事なのはクッション性よりも「耐久性」や「補正力」です。
ぐにゃぐにゃした靴は、クッション性があっても、歩いているうちに足の形が不自然になり、結果として膝のねじれを強めたり、股関節への負担を大きくしたりすることがあります。
しっかりと足全体をホールドしてくれる靴を選ぶことが大切です。
誤解2: 靴は軽い方が良い
軽い方が良いことには違いありませんが、軽さよりも「耐久性」の方が重要になります。
軽さを重視するあまり、すぐに補正力が落ちてしまったり、形が崩れてしまったりするような靴は避けるべきです。結局は耐久性が大事になります。
誤解3: 足の形に合わせて作れば良い
インソールや靴を作る際に、足の形や体重のかかり具合を計測することがありますが、これは必ずしも良い結果につながるとは限りません。
最も大事なポイントは「形」よりも「動き」です。
足の形に合わせると、余計に膝や股関節に負担のかかる動きになってしまい悪化させる原因となることもあります。
そのため、「形」ではなく、「動き」をどうしていきたいのかという点を重視すべきです。
ご自身でこの「動き」のチェックや靴選びを行うのは難しい場合がほとんどのため、プロに任せることが患者様にとって非常に重要となります。

2. 専門家が教える!靴選びの3つの重要ポイント
ここからは、実際に靴を触ってチェックできる、靴選びの3つの具体的なポイントをお伝えします。この3つのポイントを押さえて選べば、失敗はほとんどないでしょう。
ポイント1:「かかと」がしっかりしているか
現在お持ちの靴のかかと部分を触ってみてください。
ここがぐにゃぐにゃしていると、着地した瞬間に体が揺れてしまいます。
足の着地は非常に重要なポイントであるため、かかとがしっかりとしていて、高い補正力がある靴を選ぶようにしてください。
ポイント2:靴底が柔らかすぎないか
靴底、特に真ん中の部分がぐにゃぐにゃと柔らかすぎる靴は避けましょう。
着地し、踏み込んでいく際に靴底がぐにゃっと曲がってしまうと、本来の足のクッション性が潰れてしまったり、地面を蹴り出す力がうまく伝えられなくなったりしてしまいます。
ポイント3:つま先が曲がるか
特に革靴などでつま先が曲がらない構造になっていると、蹴り出す動作ができず、足を引きずるような歩き方になってしまいがちです。
男性にガニ股で歩く人が多い原因の一つでもあります。
つま先がしっかりと曲がり、地面を蹴ることができるかを確認することが、靴選びの重要なポイントとなります。

3. おすすめの靴メーカーとシリーズ3選
上記3つのポイントを踏まえ、当院がお勧めする靴メーカーは以下の3社です。
推奨メーカーは、ニューバランス、ミズノ、アシックスです。
ナイキやアディダスなどの海外メーカーは、日本人の歩き方に合わない設計になっていると感じるものもあるため、特にこの3社をお勧めしています。
1. ニューバランス
ニューバランスの魅力は、機能性とファッション性のバランスが非常に優れている点です。
街中での外出時にも履きやすいおしゃれなデザインが多く、カラーバリエーションも豊富です。
• 996シリーズ: 先端がシュッとしていてスタイリッシュな形状です。比較的スリムな足の方や、女性の方に向いています。
• 574シリーズ: 丸みを帯びており、幅広な形状をしています。扁平足の方や、少し可愛らしいデザインを好む方におすすめです。

2. ミズノ
ミズノのおすすめは「マキシマイザー」シリーズです。
このシリーズは毎年更新されており、現在26まで登場していると思われますが、特に25シリーズが推奨されています。
最大の特長は、価格以上の機能性を持つ、圧倒的なコストパフォーマンスの高さです。
当初は4,000円から5,000円程度で購入できましたが、現在は6,000円程度となっています。
かかとがしっかりしていて、靴底が曲がらず、最後に蹴り出しができるという高い機能性があり、入門編として使用するのに非常におすすめです。

3. アシックス
アシックスのおすすめは「ゲル カンタム」シリーズです。
このシリーズは、クッションが靴底全面を覆っているため、非常に疲れにくく、耐久性も群を抜いています。
価格帯は1万円弱から3万円程度と幅がありますが、どのシリーズを選んでも高い補正力を持っています。
ゲル カンタムは、かかとが曲がらず、最後に蹴り出しもできる優れた設計です。
私は自作のインソールで補正していますが、この靴はインソールなしでも高い補正力があり、非常に疲れにくいと感じられています。
見た目はややゴツゴツしていますが、女性でも可愛い色を選べば日常使いも可能です。

まとめ

その上で、機能性と耐久性に優れたニューバランス、ミズノ、アシックスの推奨シリーズを試してみることをお勧めします。
ご自身の足の「動き」を良くしていくことが、結果的に形や痛みの改善につながります。
もし、靴選びについてさらなるご質問やお困りごとがあれば、いつでもご相談ください。