変形性股関節症を悪化させる行動は、どのような状態によって変わります。
変形性股関節症が進行する流れは
1.機能不全
2.関節唇損傷
3.軟骨損傷
4.骨の変形
の順番で進行し、どの状態においても滑膜の炎症は起こります。
1.機能不全の際に悪化させる行動
1.の機能不全の状態は、インナーマッスルが弱くなり、関節の中が不安定になっています。
さらに、アウターマッスルでなんとかしようとして、アウターマッスルは硬く緊張させています。
この状態のときに、アウターマッスルを鍛えるようなトレーニングを行うと、余計にインナーマッスルを使わなくし、アウターマッスルばかり力が入り、股関節の機能が低下します。
具体的には、スクワットやランジのようなトレーニングとなります。
意外かもしれませんが、40代50代で筋トレを始めて、股関節が痛くなってきたという人は少なくなく、原因のほとんどが上記のような理由です。
まずはインナーマッスルを使えるトレーニングを行うのが良いでしょう。
2.関節唇損傷の状態の際に悪化させる行動
次に関節唇損傷で痛みが出ている場合は、「怪我」ですので、安静にしていただくのが大切です。
このときに、歩いたり、筋トレ、ストレッチを行って痛いのに無理に動かしてしまうと、関節唇が余計に剥がれて悪化させてしまいます。
関節唇損傷は、特殊なMRIの撮り方をしなければわからないので、股関節に激痛が出ているのであれば、股関節を専門として診られているお医者さんに診察してもらうことをお勧めします。
3.軟骨損傷の状態の際の悪化させる行動
軟骨損傷の状態は、筋肉の機能や関節唇損傷により不安定性がかなり増している状態です。
この状態のときに、絶対にしてほしくないのは、ランニングマシーンでのウォーキングやランニングです。
ランニングマシーンは着地すると微妙にベルトがたわむので、股関節の穴から大腿骨が抜けてしまいます。
さらに、同じ速度で歩き続けることになりますので、ご自身の筋肉や関節でバランスをとるためのコントロールが効きづらく、簡単に関節内で大腿骨頭と臼蓋がぶつかってしまいます。
また、ダンスや試合形式のあるチームスポーツなどは、自分のタイミングで休憩することができず、筋肉の疲労で関節が不安定になっているのに競技を続けることになり、関節内でぶつかることが起こり、変形が進行してしまいます。
子育てやお仕事に少しゆとりが出て、ご自身の趣味を始めてから、股関節に痛みが出てくることが多いのはこういった背景が存在します。
4.骨が変形していく際に悪化させる行動
最後の骨が変形していく状態の際は、不安定型と安定型の2種類あり、不安定方にの場合は、関節の構造破綻が進み、正直人工関節手術を選択するのが良いと思います。
ですので、不安定型の場合は、無理に動かさず、手術に備えて、他部位の筋力を落とさないように運動することが大切です。
安定型は、関節の中心に向かって骨頭がぶつかっていき、関節可動域は減少しますが、痛みは落ち着いていきます。
この状態になれば、ご自身の無理のない範囲で、動かしていただく方が筋力を保てますし、体全体の状態も活動的になり良いかと思います。
どの状態でも起こりうる滑膜炎の際に悪化させる行動
どの段階にも起こりうる滑膜炎の場合は、「炎症」ですので、安静にしていただき、あまりにも痛くて眠れないなどの障害にまで発展しているのであれば、関節内注射や痛み止めで疼痛コントロールをしていただくのが良いです。
このときに、マッサージやストレッチ、ましてや運動などをするのは逆効果ですので、とにかく炎症が落ち着くまで安静に過ごしてください。
あとはオーソドックスに、体重が増え過ぎたり、睡眠不足や栄養不足、片側にばかり負担のかかる動きなどを控える生活に変えていただくのが良い方法です。
最後に
ご自身の状態がわからない方は、まずは専門家に診ていただいて、これまでの流れや現在の悩み・不安をお伝えし、しっかりと把握することから始めてみてください。