股関節の痛みで一番多いのは、変形性股関節症といわれる変形です。
元々、股関節の穴が浅かったり、急激な体重増加で関節窩と大腿骨頭の位置がズレ、変形してくる疾患です。
今日はこの変形性股関節症のお話をします。
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変形性股関節症の初期
初期の症状としては、片側の股関節に違和感があり、長く歩いた後、もしくは次の日に足の付け根が痛くなります。またあぐらをかくことが辛くなったり、あお向きで寝ることが嫌で横向きで寝ることが多くなります。
しかし自分で適当にマッサージしたりストレッチすると痛みが軽減するので放っておく人が多いです。
変形性股関節症の中期
この頃になると、骨同士がぶつかりあってきますので、足の可動域、特に開く動作に制限がでてきます。また、長く立っている、歩いている、しゃがんで何かをすることが辛いので横になるか足をなげだして座ることが多くなります。夜中の寝返りでも痛みで目が覚めることが増え、腰痛や足全体のダルさを自覚してきます。ほとんどの方がこの中期に病院に行きレントゲンを撮って、変形性股関節症と診断されます。そして「痛みでどうしようもなくなったら手術ですね」と言われ、シップと痛み止めをもらって帰ってくるというパターンが多いです。
変形性股関節症の末期
5分歩くのも辛くなり、歩く姿は左右にユサユサと揺れてかばうように歩きます。また、反対側の足にまで痛みが出て来て、動けないことにより体重が増え、さらに痛くなるという悪循環を起こしていきます。
痛み止めも効かず、この段階で手術をする人が多いです
病院での治療
主に痛み止めとシップが多いです。
手術は人工関節と言って関節自体を入れ替える手術と、骨切り術といって関節近くの骨を切って関節の向きを変えたり残っている軟骨に荷重部をもってくる手術を行います。
そしてリハビリをしていくという形です。
手術の良し悪し
手術の良いところは「痛み」がとれるということです。
必ずとは言いませんが、接触していたんでいるところがなくなれば痛みがとれるというのは当たり前です。
しかし、やはり人工関節ですとどうしても破損や摩耗が起こり、10年程で交換という形で再度手術ということがあります。
また、股関節を繋ぎとめている靭帯を手術でどうしても切らなければならないため足の角度が変わってきます。ですので、歩き方が変わり姿勢や違う場所に負担が掛かるようになるのも事実です。
「痛み」をとることはとっても大切ですが、手術はその後の人生も考えて決断することをお勧めします。
変形性股関節症でやってはいけないこと
1、自転車に乗る
これは歩くのが辛いからといって、やる人が多いのですが、人間は本来両足から荷重がかかっていく仕組みに設計されています。その証拠に骨盤をみてもらいますと、
このように仙骨が三角形でクッションの役割を果たし、力を分散させて脊椎に伝えています。
しかし、自転車のサドルに当たるのは、尾骨になってしまいます。これは衝撃がそのまま、脊椎に伝わることになり、脊椎にとてつもない負荷がかかることになります。競輪選手も足はふっといですが、じっと立っていなさいというと10分も立っていられない人が多いです。これは腰がボロボロになっているからなのですね。
股関節を形成する筋肉もほとんどが腰椎から出てくる神経ですので、やはり不具合をおこしてくるのです。フローリングなど直接床に座ることもオススメしません。
2、足底板を作る
よく足底板で足の傾きを変えると膝や股関節の痛みが変わるとありますが、これも私はオススメしません。
基本的に末端(手足)は脊椎という中心のバランスをとるために変形したり、角度を変えたりしていきますので、末端からどうにかしようとするのはナンセンスです。むしろ、また違う関節に不具合が起き余計に体のバランスが崩れていきます。
生まれつき脚長差がある人はしょうがないにしても、今までの習慣でなってきた人にはオススメしません。脚長差も見かけだけで本当は骨盤の傾きが原因の人も多いですよ。
変形性股関節症にオススメのこと
1、水中ウォーキング
地道をウォーキングするのが辛いという人には、プールでの歩行をおススメしています。できるだけ浅いプールで完全に負荷をとらずに30分以上連続で歩くことがよいです。
滑液という関節を潤滑させる液がこの連続で30分以上歩くことによって出てきます。
股関節も軟骨があり、軟骨には血管がありませんので滑液からの栄養補給に頼っています。
また、人間は歩くことによって骨盤を整えて、日々のちょっとした歪みを修正しています。車も走らないと壊れますよね。ですので、できるだけ毎日歩くようにしましょう。
もちろん、痛みがキツクない人は地道を歩くことをおススメします。
2、四つん這い(ハイハイ)
人間は元々、四足歩行でした。それが立ち上がり、骨盤の角度が変わり、頭部が大きくなり脳が発達してきました。そして変形性股関節症の人とほとんどセットで見られるのが肩の不具合です。四足歩行ですので、肩と股関節が一緒に動いていくのは当たり前ですよね。
しかも肩は日常荷物を持ったりと引っ張られる力がかかることが多くても、逆に押し付けられることは少ないのです。
股関節も立位での荷重はあっても、四つん這いの角度からの荷重はほとんどありません。ですので、四つん這い(ハイハイ)を右手右足と同時に出して行っていくと、肩・股関節の両方に滑液が出るようになり、正しい関節運動ができるようになります。
毎日、5歩前に進んで、5歩後ろに下がるのを3セットやってみて下さい。
自分でできる股関節のリハビリとストレッチ
まずは、どれくらい変形しているのかをチェックしていきましょう!
あお向きで寝て、痛くない方の足から写真のように開いていってください。
ご覧の通り、痛い方の足は開きにくくなっています。
この角度が60~70°しか開かなければ、変形は中期に入ってきていると思ってください。
開くけど、痛い人は初期ですね。
中期の人は毎日ストレッチを行うことにより、開く角度が大きくなっていくことに注目。
初期の人は毎日ストレッチを行うことにより、痛みが少なくなっていくことに注目してください。
まず、朝布団から起き上がる前にあお向けで足を内に外に20回ずつ繰り返してください。
↓
これは股関節を動かしていくお尻の筋肉や繋ぎとめている
靭帯を緩めていくためです。
そして、ベッドもしくは布団から出て片膝をつけて写真のようにしてください。
そして床についている側の足をグーっと後ろに引いていってください。
この時、胸は張ったままでお願いします。
股関節が伸びているのを確認してそのまま1分間キープしましょう。
難しい人は、イスに座って足を引いていくやり方もあります。
このストレッチは、脊椎と股関節を繋ぐ唯一の筋肉である腸腰筋をゆるめていきます。
この筋肉が硬くなると体が前に倒れてきて、股関節の角度も変わっていきます。そのことにより本来の股関節の動きが出来なくなり、変形が進んでいきます。
注意点なのが、これらのストレッチは朝一番にやってほしいということです。
朝一番にすることによって、その一日良い姿勢を作ることができ、良い姿勢が習慣化していきます。
ストレッチと聞くとよく夜、お風呂上りにされますが、そうすると後は寝るだけになりますので正しい姿勢を覚えることができません。
ですので、朝一番に必ずやってください。
当院での施術は何をしていくのか?
股関節が痛いと言っても、股関節だけが悪いわけではありません。
深部のインナーマッスルの筋膜にアプローチし、骨の位置を正しいところへもっていきます。そのことにより、片側にばかり乗せる荷重を変えていき、軸足と蹴り足という左右差をとっていきます。
また、正しい食事指導や歩行のクセを指導し、日常生活を変え、自己管理ができますよう一緒に頑張っていきます。
詳しくは分かりやすい動画で